子どもを対等な存在として扱う意識を!
叱ることだけではなく、褒めることも必要ない子育てを学ぶ
アドラー心理学、ってビジネス書で聞いたことがある
子育てにも使えるの?
そう。子供に対して、親が上の立場になるんじゃなくて
対等の立場として扱うの
そこからアドラー心理学を通して子どもとの信頼関係を築くんだって
なるほど。それにしても褒めない子育てってなかなか難しそう
どうすればいいんだろう?
そうね。実際むずかしいと思ったわ
この本をよく読んで、どう行動すべきか学んでみましょう
本日レビューする育児本は「子供をのばすアドラーの言葉 子育ての勇気」です。
本書はアドラー心理学の研究者である岸見一郎さんが書いた育児指南書です。
アドラー心理学、ご存知でしょうか?
昔からビジネス書ではアドラー心理学をテーマにした本が多数出版されているので、その方面では聞いたことがある方は多いでしょう。
「嫌われる勇気」などはベストセラーで、特に有名ですよね。
本書はこのアドラー心理学を子育てに応用する本です。
ビジネスにも陥られるような内容だから、難しいのかな?と思う方もいらっしゃるかもしれませんがその本質は難しいことはありません。
まずは少し、アドラー心理学についてご紹介します。
アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医であるアルフレッド・アドラーが提唱した心理学の一派です。
その考え方の根本は「人間は社会的存在であり、自分の人生を自分で決めることができる」ということ。
アドラー心理学の基本的な理論は、次の5つ。
・自己決定性-置かれた環境をどう捉え、どのように対応するのかを決めるのは自分自身
・目的論-人の行動には目的がある
・全体論-人は心も身体も結びついたたった一つの存在
・認知論-誰もが自分だけのメガネを通してモノを見ている
・対人間関係論-すべての行動には相手役がいる
アドラー心理学は、これらの理論に基づいて、人の共同体感覚を育成することを目的としています。
共同体感覚とは、自分と他者の関係を調和させ、社会に貢献することができる能力のことです。
アドラー心理学は、人のライフ・スタイルを分析し、ライフ・タスクと呼ばれる人生の課題に対処する方法を示してくれます。
ライフ・タスクとは、「仕事」「交友」「愛」の3つの人生のテーマであり、それらを解決することで幸せに生きることができると考えられています。
ちょっと難解ですが、アドラー心理学をざっくりと紹介するとこんな感じです。
つまるところ、アドラー心理学を用いて
自己を確立しつつ、社会に貢献する力を育てるような、そんな子育てを目指しているのが本書です。
さて、この本の章立てを見てみましょう。
第1章 叱らない、ほめない子育て
第2章 勉強ができる子、できない子
第3章 一生強く生きられる勇気づけ
この本では、叱ってはいけない、褒めてもいけない。ありのままを受け入れる。
このように語られています。
叱らない、というのはなんとなく想像がつくのではないでしょうか。
他の育児本でも、下手に叱らないことの重要性はよく説かれるものです。
大体の子どもは叱るとその行動を一時的に止めますが、またやってしまうことが多いです。
それは、怒られるからやめよう、という認識になってしまうからで
その行動を何故やってはいけないのかの本質を掴めないからですね。
だから何度も繰り返し叱ることになってしまう。
何度も叱って改善されないのですから、その行動には意味がなく、親はその認識をしっかりと持たねばなりません。
では褒めない、というのはどういうことでしょうか。
例えばこれは勉強に対する一例です。
子どもがいい成績を取ったら、褒めてあげたくなるのではないでしょうか?
子どもも、試験で良い成績を取ったら当然親に褒められたいと思います。
しかしいつも良い成績を取れるとは限りません。
学校の試験や模擬試験で悪い点数を取りました。
どうしますか?
子供がおちこんでいても、残念ながら親はどうすることもできません。
そのような時に親が子供に「辛そうだね」と声をかけるとしますね。
そうすると、子供は「誰かにそんなふうに声をかけてもらえなければ自力で立ち直れない」と思うようになるかもしれない。
誰かに声をかけてもらえたら気持ちが楽になるかもしれません。
しかし、他の人が必ず声をかけてくれるとは限らないということを子供に知って欲しいのです。
褒められなければ頑張らない子では困ります。
子供は親のために勉強しているのではなく、親は子供の人生を決められない。
勉強は子供が自分でするしかなく、親が子供に代わることはできません。
このような事実を受け止めて、自分で人生を行く抜く力が育つように接するのです。
つまるところ、褒めることに対するデメリットを理解し、褒められなくても自分自身で人生を改善していける力を育てる、という教育の仕方なのですね。
正直このような接し方を徹底できるかと言われれば難しいです。
でも、自分自身で生き抜ける、改善する力を伸ばすことが肝心である。
このことを知るだけでも育て方が変わってくるでしょう。
他にも、「凄いね」と褒めるのではなく「ありがとう」という感謝に変えるという話もあります。
考え方一つで、選ぶべき言葉も変わります。
正しい目的に沿った考え方を念頭に置いて、自立した人生を送れる子どもに育てたいですね。
子どもが生き抜く力を育てたいと考えている方は、是非本書を読んでみてください。
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